ユング心理学徹底解説

本格心理学シリーズ。ユング編です。

人間の意識のみならず、

無意識の領域まで研究対象を広げたユング。

ユング心理学を知ることは、

あなたの知見を、無意識という、

深いレベルまで、

広げることになるでしょう。

では、さっそく、ユングの世界を見ていきましょう。

参考書籍

ユングとは誰か

ユングこと、「カール・グスタフ・ユング」は、

1875年、スイスで誕生した、

精神科医で心理学者です。

深層心理学、分析心理学の生みの親とされ、

人間の心の奥深くまでを分析したことで

知られています。

まずは、無意識という、深い層に入る前に、

ユング心理学の、意識について、

解説していきます。

意識の態度とタイプについて(8パターンの分類)

ユングは、無意識の層を理解するにあたり、

その上にある、意識の層を理解することが大切であると述べています。

我々の意識は、

2つの意識的な態度と4つのタイプ(心理機能)から、

8パターンに分けられます。

まず2つの意識的な態度です。

外向内向の2つの型に分かれます。

外向:関心や興味が外界のものや人に向いている人。

内向:関心や興味が自分の内部や主観的なものに向いている人

それぞれ、以下の特徴がみられます。

外向内向
新しい環境柔軟に溶け込める溶け込むのに時間がかかる
交友関係広い狭い
思考周囲と似たものとなる、月並み知識の幅は偏るが、深い知識や思考を形成する

この2つの型は、生まれつきの個人的資質に基づくとされています。

どちらが良い、悪いとかではなく、

自分の型に合った生き方が重要なのです。

外向→変化しやすい環境

内向→自分の関心ごとをとことん極めることができる環境

例えば、こんな感じで、自分の型に合った人生の選択をすれば良いでしょう。

次に、4つの心理機能

(心が事象にどのように反応するか)についてです。

思考機能、感情機能、感覚機能、直観機能

4つのタイプに分かれます。

まずは、イメージしやすいように、具体例から述べていきます。

例えば、スタバのドリンクを見たとして、

思考型

→ドリンクの値段、成分などを考える

感情型

→スタバがおしゃれで好き!、チェーン店は嫌い!と感じる

感覚型

→カップの大きさ、形、コーヒーの香り、など、現実をそのまま知覚する。

直観型

→スタバのロゴを見ていたら、自由の女神が浮かんだ。

いかがでしたか。4つのタイプのイメージは掴めましたか。

では、具体的に説明していきます。

①思考機能

思考機能とは、

対象物の事実に従って、論理的に考え、感じる機能です。

この機能が外向態度と組み合わさると、

外的な事実をもとに、論理的に考えるようになります。

一般的に広く受け入れられる思考を作り出し、

上手くいけば、社会に役立つ理論や仕組みを作るタイプです。

一方、内的態度と思考機能が合わさると、

自分の内部の主観的なものが基準に、思考を深めていきます。

このタイプは、見解を作り出すことができ、

思考自体も偏るものの、深い、独創的な思考を生みます。

自分の思考や見解をうまく他者に伝えることで、

よりこのタイプが輝くでしょう。

②感情機能

感情機能は、

好きか嫌いか、受け入れるか否かを判断し、一定の価値を与えます。

これが、外向態度と合わさると、

自分の好き=周囲の好き

となるので、環境に応じて、スムーズに行動できます。

楽しい雰囲気を醸し出せる方で、

良い社会人、家庭人となります。

感情機能が内向態度と組み合わさると、

深い同情心や、細かな感情を持つ人になります。

自己表現が苦手なタイプなので、不親切に見える人ですが、

実際、深い感情を持ち、優しく人に接することができます。

③感覚機能

感覚機能とは、

五感などの刺激をもとに、現実を知覚する機能です。

感覚機能に、外向態度が組み合わさると、

物事をありのまま捉えるリアリストとなります。

一方、内的態度と組み合わさると、

周囲の環境には、適応困難となります。

外的な刺激ではなく、

自分がどう見えるかという主観的態度を

ありのまま知覚します。

例えば、このタイプの方は、

美しいお花畑を見た時、燃え上がる火に見えたりします。

この人が他人に伝えられるだけの創造性を持ち合わせていると、

世も認める芸術家と値します。

④直観機能

直観機能とは、

事実そのものではなく、その背後にある意味や可能性に目を向ける機能です。

直観機能と外向態度が組み合わさると、

外的なものへの可能性を求めて行動します。

このタイプは、次から次へと目移りしてしまう恐れがあります。

成果にこだわることで花開くタイプです。

直観機能と内的態度が組み合わさると、

内的なものに対しての可能性を模索します。

この傾向の方は、自分の内界をさ迷い歩くので、

外界と適応困難になります。

適応困難なため、自分本来の傾向を無視し、

隠して生きていくことがあるのです。

感情機能、思考機能の助けがあれば、

自分の直観を伝えられ、花開きます。

以上が8つのタイプの説明でした。

実際は、これほど色濃く偏ることは少なく、

様々な機能が混ざり合っています。

また、感覚と直観は、非合理機能と呼ばれ、

あらわれてくる事象を受け入れるのみの機能です。

これに対し、思考と感情は、合理機能と呼ばれ、

非合理機能によって受け入れた体系に概念を与えたり、良しあしを判断するなど、

方向付けをします。

非合理機能と合理機能が相補しあうことで、

より心理機能が発達するのです。

では、無意識の層に焦点を広げてみましょう。

無意識(コンプレックス、影)

ユングが、我々の無意識下には、

コンプレックスや影といった

自分の中の劣等的な苦手な部分が存在する

と述べています。

ちなみに、本来の定義は、

コンプレックス:何らかの感情によって結び付けられている複雑な心的内容の集まり

影:個人の意識下で生きられなかった、その人が容認しずらい心的内容

という少し難しいものです。

少し、イメージをしやすいよう、例を挙げます。

コンプレックスの例では、

厳格な父親というコンプレックスを持っている人は、

目上の上司がコンプレックスの苦手意識と重なり

上手く関係を築けなかったりします。

影の例では、

すごく明るい人の影は、すごく暗く落ちついたものであったりします。

いつも明るい人が、急に無口になったりすることも

あるのは、影のせいです。

これらは、他者への投影によって気づくと言われています。

時々、この人嫌だなぁ~なんて感じる人いませんか?

それは、自分のコンプレックスや影が

その人に投影されているからです。

つまり、嫌だなぁ~って思った特徴は、

自分の無意識下に存在する影やコンプレックスだったりします。

影やコンプレックスの治療方法は、

まずは、投影などで、存在に気づいてから、

少しずつ意識に統合していくことです。

例えば、厳格な父親のコンプレックスに悩んでいる人は、

まず、そのせいで、父親や目上の人とうまく関係が築けないことを

受け入れます。(コンプレックスの理解)

そして、少しずつ、目上の人とうまく関係を築く努力をしていくことで、

治療されていきます。

まとめると、人間の無意識下には、

影やコンプレックスという劣等的な部分があり、

投影によって気づき、改善する努力をしていく。

言い換えると

自分と異なる部分を受け入れていくことで、

コンプレックスや影が治療され、より豊かになっていく

特徴があるのです。

(経験則ですが、投影に気づくのは、難しいかなぁと考えています。投影しているとき、割と100%近く、「相手が嫌いだ」と考えてしまいます。冷静に「これは投影しているから、自分の容認しがたい特徴なんだなぁ。改善しよう!」なんて分析できないです。

むしろ、それを思い出させるような、像や景色みたいなものに出会ったときに、実感するのではないかと感じます。ユングが主張した中にも、心像というものがあり、これが影やコンプレックスなど、自分の無意識下のものを統合するきっかけだと述べています。なので、投影できそうにない方は、心像とその先の自己実現まで、ぜひご覧ください。)

そして、もう一つ、

影やコンプレックスのように、

自分の無意識下に存在し、

意識下に取り入れていくものを紹介します。

無意識(アニマ・アニムス)

影やコンプレックスのように、

自分の無意識下に存在する

意識下に統合していくべきものに

アニマ・アニムスというものがあります。

アニマ・アニムスは、

自分の無意識下に存在する異性的な面を指します。

アニマは、男性の無意識下に存在する、女性的な面

アニムスは、女性の無意識下に存在する、男性的な面

です。

もともと男性は、強く、男らしく生きることが求められ、

女性は、優しく、情にもろく、女性らしく生きることが求められます。

(これをペルソナといいます。今回は省略しますが、興味ある方は、参考書籍をご覧ください。)

この相反する要素として、

男性なら、女性らしい優しさを持ったアニマ、

女性なら、男性らしい力強さを持ったアニムス

が無意識下に存在しているのです。

よく女性の中でも活躍している起業家や、

男性の中でも、情にあふれた優しい方を見かけるのは、

アニマ・アニムスをうまく意識下に統合した人でしょう。

このアニマ・アニムスは、外界の異性に投影されることが多いです。

自分と異なる魅力を持つ異性に惹かれる理由の一つと言えるでしょう。

自分の中のアニマ・アニムスに気づいた人は、

男性なら力強さだけでは、物足りなく虚無に陥ったりします。

(女性なら逆。)

そして、アニマ・アニムスの統合の道を歩むのですが、

この道は非常に危険であると主張されています。

自分の自我やペルソナ(男なら男らしさ、女なら女らしさ)が、

アニマ・アニムスに飲み込まれ、同一視する恐れがあるのです。

こうなると、女々しい男性になったり、否定ばかりする女性になったりします。

また、自分のこれまでの意識や人生を飲み込んでしまうので、

自分とは何者かという虚無感に陥ります。

しかし、アニマ・アニムスに気づいたにも関わらず、

統合を拒否すると、自身の理想と現実に葛藤を覚え、

ノイローゼになります。

例えば、優しさを取り入れたい男性がアニマとの統合を拒否すると、

その優しさを必要としている自分自身と

それを否定し拒絶する自分自身が対立し、

身動きが取れなくなってしまいます。

理想とはかけ離れた自分に対し、ノイローゼになるのです。

なので、これらを統合することは非常に重要なのです。

ちなみに、補足ですが、

現代社会は昔に比べ、

性の多様性が許容されつつあるので、

単純にアニマ・アニムスが、生態学的性別から特徴づけられることは

無くなっている気がします。

あくまで、その点は、考慮せずに書きましたので、

ご容赦ください。

尚、本章と前章で述べた、自分と異なるものを統合していくことの

大切さは、まとめである、自己実現(最終章)で述べます。

その前に、ユングの無意識の層をもう一段階深堀、

統合のきっかけを作る心像についても解説していきます。

無意識の種類(個人的無意識と普遍的無意識)

あなたは、無意識と聞くと、

どんなイメージがわきますか?

「無意識に見ていた。」

「無意識に手を動かしていた。」

このように、使われる無意識は、

我々の意識が向いていない状態を表します。

ユングは、この意識が向いていない状態である無意識を

個人的無意識として定義しました。

そして、この個人的無意識のさらに深層に、

普遍的無意識というものを定義しました。

全人類に共通して持っている無意識のことを言います。

神話が多くの人に受け入れられていること、から証明できます。

例えば、日本の神話で、

国土を生み出した母なる神

イザナミは、黄泉の国に下って、

死の神となった。

この、イザナミの神話が多くの人々に受け入れられてきたのは、

地(大地)が、

すべてのものを生み出す地

すべてを飲みつくす死の入り口

のような普遍的無意識が人類に共通して

存在するからだと考えられます。

少し、信じがたい話のような

奇妙なもののように感じますが。。。

ただ、これは、普遍的無意識の元型が、

そのままでは、把握できないからともいえます。

ユングは、普遍的無意識の元型が、

原始心像という、元型が意識内に浮かび上がってきたもの

として、初めて認識されると述べています。

先ほどの例でいうと、

地に対して、

我々は、生命の始まりや、死など、

なんともいえない偉大で恐ろしい元型を持っていますが、

これ自体は、イザナミの姿(原始心像)をもって、

初めて認識されるのいうことです。

普遍的無意識(の元型)は、意識的に把握できず、

あくまで、表層化した原始心像の姿をもって初めて把握される

ということです。

では、次に、この原始心像について、

個人的に言えるレベルまで、拡張していきます。

心像(と象徴←省略予定)

先ほど、普遍的無意識は、原始心像を持つと

述べましたが、

これは、個人的無意識が持つ心像にも言えます。

心像は、意識と無意識の間に存在する

その時々の心の集約的表現と定義づけられています。

わかりにくいので、

心像が持つ3つの特徴から、

解説していきます。

心像が持つ特徴は、具象性、集約性、直接性です。

まず、具象性についてです。

私たちは、思考をするとき、

色々な概念を組み合わせて考えます。

たとえば、父親について考えるときは、

厳格、力強い、怖い、優しい、男らしい

など、色々な概念があり、

これらを組み合わせることで、思考します。

このとき、概念そのものは、

何らかの心像を持つのです。

例では、厳格、

厳格、力強い、怖い、優しい、男らしい

といった概念が、父親という心像に具象化(具体化)されています。

また、心像の持つ集約性からも言うと、

父親の心像には、様々な概念が集約していると言えます。

このように、心像は、

具体的な像で、集約的な表現であるということがわかります。

心像のはたらきの実例を見ていきましょう。

たとえば、権威的な父親に嫌悪を抱き、恐れている人は、

目上の人(個々の概念)が父親(心像)と結び付き、

目上の人とうまく関係を築けなくなります。

このように、我々が思考をするとき、

概念の裏の心像が働いているのです。

最後に、心像の持つ直接性の特徴を述べていきます。

心像というのは、夢の中で出てくる場面も多いのです。

父親に嫌悪を抱く例でいうと、

夢に、数学教師の像が出て、嫌な経験をすることもあるということです。

このとき、数学教師は、父への嫌悪感、数学への劣等感、

目上の人に対する苦手意識などが集約された、具体的な心像であることは、

いうまでもありませんが、

この夢は、個人が直接経験するということです。

これは、個人を動かすもととなるのです。

「あなたは、目上の人に嫌悪感があります。」と事実だけ認知するのではなく、

心像から直接伝えられる「数学教師の夢」というものを

強烈に体験するほうが、はるかに個人に響くのです。

そういう意味では、

心像が持つ直接性は、心像の強い生命力ともいえます。

ちなみに、ユングは、この心像が夢の中で出てくることが

多いことから、夢分析にも力を入れていました。

ここでは、説明を省きますが、興味ある方は、

参考書籍をご覧ください。

では、最後にユングの自己実現について

解説していきます。

まとめ:自己実現について

ユングが主張した自己実現とは、

個人に内在する可能性を実現するために、

安定を崩してまで、高い統合性へ向かうことである

とされています。

影やコンプレックス、アニマ・アニムスなどを、

自分の今まで築き上げてきた価値観や自我を崩してまで、

統合していく。

この道は苦でしかないが、人間は本来、この性質を持つのです。

そう考えると、人生(自己実現)というものは、

キラキラした充実した部分だけでなく、

苦しいものもたくさんあるでしょう。

まさに、山あり谷ありですね。

日々、忍耐しつつ、自己実現の道を一歩一歩踏み出していこうと思います。

今回は以上です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

参考書籍

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